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松沢聖佳さん独占インタビュー -NEW REDSTER”フィーリング-
2021-22シーズンのREDSTERに新たに採用されるテクノロジー・REVOSHOCK(レボショック)。スキーにサスペンション機能を搭載することでターン中の振動を減衰し、驚くほど静かな乗り心地を実現した本テクノロジーは、発表直後から大きな話題を呼びました。
このREVOSHOCKが搭載されたNEWモデルをいち早くテストした松沢聖佳コーチに、フィーリングやおすすめの1台などをインタビュー。アトミックのスキーを知り尽くした彼女が感じたテクノロジーの進化や、今季から新たに登場するレディースモデル「CLOUD」(クラウド)の印象などをたっぷり話してもらいました。
シンプルな見た目と機能のギャップに驚かされた
—フルモデルチェンジした今季のREDSTERについて、全体的な印象を教えてください。
松沢:アトミックは数年に一度テクノロジーが大きく変わっていて、そのたびに感じる衝撃があるんですけど、今季のテクノロジー「REVOSHOCK」はプレートがどのように機能するのか予想できなかったぶん、受けた衝撃は一番大きかったように感じます。実際に乗ってみたら振動がないし、乗り心地は軽いのに、ハードバーンだろうがパウダースノーだろうが安定感がものすごくありましたね。
軽くてよくしなるスキーの場合スピードが出たり、アイスバーンになったりするとバタつきやエッジの外れる感覚が出てきますが、レボショックの場合はそういった限界を感じないんです。見た目はシンプルなのに、どっしりとした安定感やグリップの強さというギャップがある。そういう意味でも衝撃的なテクノロジーです。
過去のテクノロジーである「ダブルデック」や「サーボテック」が搭載されていたスキーは張りがあったので、しっかり踏み込んでもある程度のたわみのところで止まる感覚がありました。でも、レボショックはトップが内側に入ってくるのを制限しない感覚があるので、ハイスペックなモデルであってもトップの入りが自在だなと思います。
だから、ショートターンのようなラディウス以下のターンをする時にもストレスが全くない。トップのしなやかさをすごく感じるぶん、ターンをきれいに描いてくことにストレスがないから、滑りを後押ししてくれるモデルだなと思いましたね。
—今季から新たに登場するレディースモデル「CLOUD」の乗り心地はいかがでしたか?
松沢:はじめて乗ったときに、まず「軽いな」と。軽いけどワイドボディで足元が広めなので、雪面に立った時や滑り出しのときにはすごく安定感がありました。テストしたバーンは結構ハードパックされたところでしたが、そこでも十分にカービング性能やコントロール性を感じたし、雪が悪くなってもスキーの形状でカバーしてくれる。そういう意味ではあんまり使う人を選ばないし、雪質も選ばないスキーだと思いました。女性スキーヤーのなかには恐怖心が大きい方もいると思うので、そういう意味では安心ですよね。
あと、スキーってトップが長くてテールが短めになるよう、ビンディングが少し後ろに付いているんですけど、クラウドの場合はセンターにブーツの位置があるように感じて、トップとテールを均等に振りやすい感覚があったんです。実際に滑ってみるとそのバランスが生かされて、左右にスキーを振ったり、まわしたりすることにストレスがない。だから、そんなに脚力がなくてもスキー操作はしやすいと思います。
とはいえスペック的にはしっかりしているし、ターンをするとエッジの引っ掛かり(=エッジグリップ)をしっかり感じるから、中級者でも充分に乗れるモデルです。“エッジの引っ掛かり”と言うとマイナスに捉えられがちだけど、エッジの引っ掛かる感覚がないとスキーをずらしたり、踏み込んで滑らせたりする量を実は正確に決められない。だから、「かかる」っていう感覚はすごく大切なんです。
たとえば、S9iとかS8iクラスになるとエッジグリップは当たり前になるけれど、レディースだとフレックスやトーションをソフトにするぶん、エッジグリップを優しくする傾向があると思うんです。でも、CLOUDは技術のある女性でも滑れるように、使う人によって足回りがちゃんと噛むように作られているような感じがしましたね。
—では、もし1日オフがあったとしたら、今季モデルのなかで何を履きたいですか?
松沢:そうだな…オフの日はスキー履かないからな…(笑)なんでもいいなら、ファットスキーに憧れはあります。まだMAVENシリーズは履けていないので、ぜひ試してみたいですね。
—普段はどのスキーを履くことが多いのですか?
松沢:周りにいる仲間は技術選で戦う選手が多いので、S9i PROを持ってゲレンデに行くことが多いです。そこで皆が練習している様子をビデオで撮る、という感じで過ごしていますね。
でも、そういう日が続くとGSのスキーを履く機会が減るので、たまにGSのスキーも持って行って、ラディウスのゆるいスキーをどれだけ回せるか技量を試すこともあります。やっぱり自分のレベルを落としたくないし、可能性があればどんどんレベルを上げたいと思っているので、自由な時間は練習に充てちゃいますね。
スキーの持つ可能性が格段に広がったNEW REDSTER
—では、松沢聖佳さんが今季モデルの中で1番好きなスキーを教えてください。
松沢: 私はS8iかな。好みはS9i PROですが、昨シーズン、今季モデルのなかで初めて乗ったのがS8iで。その日は同時に撮影もすることになっていて、シーズンインでいきなり撮影だったので結構緊張していたんです。「うまく滑れるのかな」っていうのと、「S8iだしなぁ」っていう気持ちがあって。
S8iって2級から1級ぐらいのゾーンのスキーだから、あんまり踏み込むと角付けが外れる可能性がある。だけどいざ1ターン、2ターンと滑ってみたら「意外といけるかも」と思って。そうやって滑ってたら「いけちゃった」って感じ。2級~1級レベルのスキーとなると、スピードと角付けの角度に限界があるっていうのが従来の考え方だったので、難なく滑れたときにはびっくりしましたね。
—シーズン一発目で、2級~1級レベル向けのS8iを履いたらすごくラクに滑れたと。
松沢:そうそう。実際に2級レベルのスキーヤーが乗ったときにも、今まで以上にスピードを出すとか、強く加重するとか、そういうところまで対応できる幅があるっていうか。“強い”とか“オーバースペック”とは違う、スキーが持つ“幅”を感じましたね。扱いやすいのに、スピードにも耐えられる。すごい可能性のあるスキーだなと思いました。
今までのS8iと素材のグレードは同じなのに、おそらくテクノロジーでそこまでの幅を持たせてるっていうのが、レボショックって本当にすごいんじゃないかなと。だからS9i PROみたいなバリバリのスキーを履いて、そこに一生懸命ついていくように滑るのもひとつの楽しみだけど、S8iで少し余裕を持って楽しむのもいいなと思いましたね。
あと、ハイスペックになるほどスキーの返りが強くなって切り替えがしやすいんですけど、S8iもスキーの返りが早い。だから切りかえでもタイミングが合わせやすくて、そこもすごいなと思いました。
—とはいえ、S8iがS9iに近づいているという意味合いではないですよね?
そうでもないですね。やっぱりしなやかさはS8iのほうがあるし。でも昨年モデルと比較すると、全体のグレードが少し上がっているとは思います。ただ、グレードが上がったことで難易度が上がったかって言ったらそうでもないような気がするし。だから皆さんが履いてどういう風に感じるのか、ちょっと楽しみなんです。
特にS8iは女性スキーヤーにすごい人気で。アトミックはずっとスキーの重量が重かった歴史があるんですけど、ひとつ前のサーボテックというテクノロジーのおかげで軽くなったんです。そのなかでS8iは女性でも履きやすいってことで、みんな履いてて。
だから、今季のS8iを履いたら女性スキーヤーの皆さんはどう感じるんだろう?って気になります。もし「滑りやすい」って言ってくれたら、私がシーズンインのときに思いっきり滑れたことも含め、幅が一番広い板かもっていう予感があるんです。
—最後に、ユーザーに向けて聖佳さんが最もおすすめだと思う1台を教えてください。
技術練習で滑るならS8iとS9iですね。カービング性能に優れているし、コントロール性も高いので。やはりスピードにある程度乗ってこそ、足場がグリップしてこそ上達に繋がるし、そこに安定感が生まれるので、S8iとS9iはそれが実現できるスキーだと思います。
女性が使うにしてもそんなに難しいスキーじゃないので、2級レベルの方であればS8i、1級やテクを目指すくらいのレベルの方であればS9iがおすすめかな。あとはファットスキーとか、それぞれ自分がやりたいスタイルによって色々なモデルがあるので、自由に選ぶのがいいと思います。
それと「軽いスキーがいい」っていう方はCLOUD。軽量なプレートが付いてたり、リチウムビンディングという小さいビンディングが付いていたりするので、軽さで選ぶならおすすめですね。そんなふうに自分の目指したいスキーとか、楽しみたい場所とか、譲れない条件によって、ベストなものを選んでほしいなと思います。1台に絞れませんでしたね…(笑)
▼製品説明動画(Youtube Atomic snow channel)